受託開発で作られる製品。

以前こんなエントリを書きました。
http://d.hatena.ne.jp/zenkaifc/20090804/1249337665:Title



そして、そのお客さんからお仕事をいただけそうです。



いろいろな条件が結構厳しいので、流れるかもしれませんが、こんな短期間でそんなお話をいただけるとは、と驚いているところです。
思うに、会社としてのサポート体制を評価していただいているということですごくうれしいのですが、ここで一つの疑問が出てきました。



「ボクらの製品は、売れるものなのか?」



注文が来ているのだから売れるのは当然です。
ただし、その製品が売れるのは注文をしていただいた会社、たった1社にのみです。
お仕着せの完全なオーダーメイドなので、他では使えませんが、受注をして作ったら、当然のように売れるワケです。




私が疑問を持ったのはそういうことではなくて、


「果たしてボクらの製品は、市場に出したところで受け入れられるのか?」


ということです。





受託開発の現場では、マーケットがあって、そこで競合他社製品としのぎを削り合っているときに考えるような、至極当然のことをあまり考えません。

  • 市場にはどんなニーズがあるか

ほとんど考えません。ニーズ=付き合いのある会社の要望です。


  • 製品のコンセプトは何か?

あまり考えません。システムを刷新する時に、コンセプトとして目を引く言葉を使ったりしますが、中身は大して変わりません。


  • 誰にでも優しいインターフェイス(わかりやすい入力画面や、柔軟な操作性、早い応答性)を持っているか?

速度こそ求められますが、インターフェイス自体は、昔のコンピュータの緑の画面からあまり変わりません。ダダダッと入れてEnterキーで移動、ファンクションキーでいろんな機能に飛んだりしますが、有機的な動きはSIer側の工数の都合でNGだったりします。
また、大切な速度でさえも、「求められるデータ量が多すぎる」の一言でお客さんを平気で待たせたりします。


  • 競合他社と比較して、秀でている面は何か?

コレは一発目だけです。一度システムを構築して保守契約なぞ結んでしまったら、そこからは”オンリーワン”としてやっていけるワケですから、無理をして他社の上に行くようなメリットを打ち出す必要はありません。


  • 使い続けているといいことがあるか?

不具合が出れば、直します。ただし、それが要望であれば、お金をいただきます。お金を払い続けて保守をしていたとしても、それは機能の充実や速度の向上に寄与するものではありません。




オンリーワンのものを望むなら、オーダーメードで作るしかありません。

http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20090827/1251347531:Title

まさにid:gothedistanceさんがこうおっしゃるように、この”オンリーワン”にぶらさがって営業努力を怠っているようなケースが結構あるのではないでしょうか。





もちろん、市場が小さい≒ニッチな市場であればあるほど

受けるほうもほとんど前例が無いので高い専門性が要求される。それゆえに、リピートを頂ける可能性も高まる。

http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20090827/1251347531:Title

ということになるので、ますます金額が上がり、殿様商売にハクがつく。ニッチなだけに、競合他社がいきなり現れない限り、細く長く生きていくことができてしまう。


ニッチな市場で生き長らえるということは悪いことだとは思いません。
ものづくりの現場において、職人芸が評価されるように、職人集団が専門性の高い製品を作り続ける分野もあってしかるべきだと思います。



ただ、そうやって作った製品が広く受け入れられるかは疑問です。
いくら技術があっても市場に受け入れられなければ、その技術は役に立ちません。
技術者だから、モノだけ作っていればいいなどと考えていたら、市場の方から見捨てられることになります。




そして私が持った疑問について。


「果たしてボクらの製品は、市場に出したところで受け入れられるのか?」


私の答えは今のところ、「No」です。




もっともっと、いろんなお客さんとお話をしたいですね。
受託で培った技術やノウハウを活かすこともできるでしょうし、その逆もまた然り。
もう一つ、広いフィールドを見渡すことができれば、もう一つ、上のレベルに行けるのでは、と思っています。